お正月の慣わし

お正月は一年の中でも最も大きなお祭りです。
ここ数年内でこそ12月31日や三が日にも営業をしている小売店が出てきてしまいましたが、以前までは年末年始は企業も人もすべておやすみとなることが一般的でした。
お正月である1月1日~3日までは現在も多くの企業でおやすみとなっていますが、その間には伝統行事としての料理やお酒を飲むこととなっています。
お正月の伝統的な料理やお酒と言えば、お餅とお屠蘇があります。
普段はアルコールを飲むことが禁止されている未成年であっても、おちょこ1杯程度の日本酒を飲むことは許容されており、みなで同じ盃からのお酒を飲み、同じお鍋のお雑煮を食べるようになっています。

福茶とは

ところでお正月に飲む飲み物には、お屠蘇の他にもかつて「福茶」と呼ばれるものがありました。
福茶とは、「若水」という元旦の暁どきに井戸や川から組んできた水を使ってたてられるお茶のことで、お茶っ葉の種類はそれぞれの地方によって少しずつ違うものが用いられていました。
一般的な福茶では梅干しや切り昆布、粉山椒を入れた緑茶です。福茶のお茶うけとしては干し柿が添えられるのがならわしでした。
干し柿は、当時のように簡単に甘いお菓子が食べられない状況であったことから、正月のちょっとした贅沢の意味で付けられたものです。
しかし現在では手軽にいつでもお菓子を購入できるようになったことや、井戸や川から家庭で使う水を引かなくなったこともあり、福茶という風習は徐々に廃れていくことになりました。

お屠蘇に関する風習

一方でお屠蘇に関する風習は今も多くの地域で続けられています。
お屠蘇の文字のもとになっているのは「蘇」という悪鬼を「屠(ほふ)る」という意味であり、元来邪気を払う力のあると言われる日本酒を使い、体の中の邪気祓いを行うというのがお屠蘇という風習の意味となっています。
正月料理である「お餅」にもこの邪気祓いの意味が込められています。
餅は稲の霊力を宿したごちそうとして、正月以外の多くのお祭りで祭壇への捧げ物となっています。
正月になると鏡餅としてお餅を神棚に上げ、一定の時期が過ぎたら家族でそれを分けあって食べるようになっています。
このとき食べるお餅のことを「御霊分け」とも言い、お餅を3種の神器の一つである鏡に見立て、それを神様に捧げて力を授かったのちに食べて力を分け与えてもらうという意味が込められています。
お餅はしばしばお雑煮の具材にもなりますが、これも季節の野菜とともに福寿を祝って食べるという意味のものです。