医療が発達し人の寿命が延びた現代

その昔、江戸時代に人間50年といわれたのは、平家から江戸時代にいたる頃、人の平均寿命が50年とされていたため、この様に言われていたといいますが、現代の人口統計における計算で当時の平均寿命を換算してみると30代から40代くらいとなるのではないかと予測されます。

とにかく現代とは違い、栄養の整った食事がとれることは少なく、身分がよければ安定した生活がおくれたかもしれませんが、身分の低い子供は生まれてから生き延びることも難しいといわれるくらいの時代すらありました。

江戸時代以降、時代の中で少しずつ医療も発達し、人生50年といわれてから寿命は延び続けていますが、江戸時代辺りはそれこそ60歳を迎えるということは非常に長寿なおめでたい事でした。

干支は60年で一巡し、60年でちょうど生まれた干支に戻る、還るとされたことから「還暦祝い」という長寿の祝が出来たといわれています。

還暦祝いと干支のこと

私達は干支というと、12年で元に戻ると考えますが、干支というのは十干(じゅっかん)、十二支(じゅうにし)によって構成されており、実は全部で60の組み合わせがあります。
そのため、12年で一巡りではなく、60年で一巡りなのです。

飢饉が続き人々が飢え苦しんでも、組織的に助けてくれることはありませんでしたし、戦で大けがをしても、そこに医師が駆けつけるということもなく、また病気になってもその病気を治すための医療知識、技術共にありませんでした。

餓鬼状態となればお子さんが生まれても、お母さんが栄養不足という状態ですから満足なお乳も出ない状況です。
乳幼児が健康に年を重ねるということはとても大変な事でしたし、人が60年生きるということもとてもおめでたい事だったのです。

還暦のお祝いはいつ?どういう風に行うの?

還暦のお祝いは、数えの61歳、つまり満60歳で行います。
還暦の祝の品といえば赤いちゃんちゃんこといわれますが、赤い色の入った者なら何でも縁起のいいものとして、赤いセーターやマフラー、手袋などの小物類を贈るということもあります。

ただ、こうした赤い縁起物以外、お祝いする相手が好きな物や、贈って喜ばれるものならどんなものでもいいとされています。

こうした長寿祝のお返しについては、茶器等、後に残る記念品のようなものをお返しすることが多いようです。
自宅でお食事会を開いたり、レストランで親戚一同お祝いのお食事を頂くということもあるようですが、ご家族それぞれ、祝の気持ちを込めて行えばいいでしょう。

還暦祝いを贈る時期ですが、宴席などにいかない場合、誕生日、敬老の日などに贈ってもいいですし、お祝いの会などに出席されない場合などは、お祝いの会の前日に届くようにします。

還暦祝い、贈り物以外だっていいのです

還暦祝いは贈り物をするということ以外、還暦になった方が喜ばれるだろうなと思う事を行うといいと思います。
例えば親戚などのみんなが家に寄る事が好きという人なら、みんなでその方の家にお料理を持ち寄ってお祝いするということもいいと思います。

また旅行が好きという人で、御病気等もなくお元気ということなら親戚の有志で旅行を計画されてもいいです。
還暦祝いといっても現代では60歳、現役の年齢なので、アクティブなお祝いの方が喜ばれるかもしれません。

お祝の品物を贈る時には、白赤、金銀の水引をかけてのしをつける、表書きは還暦祝いと記します。
こうした礼儀をしっかり尽くすことも、長い間ご家族、親せきを引っ張ってきてくれた高齢な方々へのマナーです。